瓦屋根に使われる漆喰は、石灰、水、油、繊維等を混合してできており、主に隙間を埋めるために用いられています。瓦を葺いたときにできる隙間は、主棟や隅棟の土台と平面との間や軒先などにあります。
屋根の漆喰の耐久性はおおよそ10年から20年くらいです。
こちらは棟瓦積み替え工事を行った時の写真です。棟瓦を撤去するとボロボロになった漆喰がでてきました。
参考事例:町田市 棟瓦積み替え工事【施工事例:121】中吊り施工の様子のページより
屋根瓦に使われる一般的な瓦の耐用年数は30年から50年くらいのものが多いので、屋根の漆喰の寿命は瓦よりも短いことになります。
漆喰は石灰を主とした材料のため、雨風や直射日光、寒暖差、経年による劣化が瓦より早く進行します。施工後10年かせ15年前後で表面にヒビが入ってきたり、剥がれて乾燥した土が流出してきたりします。瓦の葺き替えまでに数回は全面的な漆喰の補修が必要になります。
漆喰工事 相場・費用など
漆喰補修・交換工事には工事種類や範囲などでパターンがありますが、ケース別でその費用感について解説します。
漆喰補修工事の場合
古い漆喰を剥がして新しい漆喰を塗り込める方法です。これは現在の漆喰の劣化状態が比較的軽い、表面にひびが入っているとか欠けているなどの状態に対応します。
仮に一般的な木造住宅として、建物の坪数としては30坪台(90から110㎡程度)、屋根面積は20坪台、60から70㎡程度とします。平均的な費用としては、5万円から20万円となります。
内訳としては、材料費と作業費以外には、既存の漆喰の解体撤去があります。足場が必要な場合にはこれに加わります。
漆喰交換工事の場合
一度瓦を取り外して内部の葺き土や漆喰を新しくやり直してからふたたび瓦を乗せる方法です。これは現在の漆喰が崩れてしまい、瓦がズレたり歪んだりしている状態に対応します。平均的な費用としては、10万から40万円となります。
漆喰塗り替え工事は古い漆喰を取り除き、清掃し下地を整え、新しい漆喰を詰める作業となります。
漆喰補修・交換工事にかかる日数・工期
漆喰補修工事では、部分的な補修になることが多いため工事も1日か2日で終わることができます。漆喰交換工事では、手間がかかるため、工事は3日から1週間かかります。
あとは棟の長さなどにより工期が決まります。また、天候に左右されます。雨天時には原則作業できませんので、そのぶん工期は延長する可能性があります。
コネクトハートでは漆喰はシルガードを利用しています。
漆喰の参考事例:シルガード(「棟瓦 漆喰塗り工事 【施工事例:114】相模原市O様邸」のページより)
住宅に使われる南蛮漆喰の商品名で、耐久性・防水性もこれまでの葺き土よりも優れているため、多くの屋根やさんが利用しています。
シルガードの白と黒がありますが、こちらの画像は黒が使ってあります。成分や性能面では違いはありませんが、白の方が価格が高い特徴があります。
耐用年数は10~15年とされており、変色や苔が生えたり、ひび割れなどが出たら、古い漆喰を剥がして新しいものを塗りましょう。
漆喰補修・交換工事時に心配な点(追加費用・天気)
漆喰補修・交換工事を依頼して工事してもらう際のトラブルが気になるところです。心配な点をまとめました。
追加費用はかかる?
漆喰関係の工事では、すべて屋根上の箇所になりますので、なかなか目線では確かめにくい位置になります。特に主棟は屋根の一番高いところにあり、目視で確認することは困難です。
しかし、最近ではドローンを飛ばして至近距離から細部の映像や画像を撮ることで漆喰の状態や傷み具合の確認をする施工業者も増えています。弊社でも無料でドローン点検を行っています。漆喰の状態確認にドローン調査は必須と言えるくらいです。追加の費用負担の可能性は低いと言えそうです。
天気は大丈夫か
屋根に関する工事では、天気は作業を左右する重要なタイミングになります。しかし、もし施工中に雨が降ったとしても、漆喰の補修、交換工事は短期間ですし、施工中の養生も比較的容易ですので、心配はありません。
天気に関しては業者も慣れていますので、数日程度の晴れが続く日程に合わせて工程を組むのが通常です。
漆喰補修・交換工事時に足場は必要か?
足場についての参考事例:スレート屋根塗装・外壁塗装工事 【施工事例:135】町田市T様邸のページより
足場が必要かどうかは、現場の条件や工事範囲、内容によります。漆喰補修・交換工事では、工事の範囲と屋根の勾配がポイントになります。切妻の屋根で工事が主棟のみのケース、または屋根の勾配が緩いケースでは、足場の必要がないこともあります。
足場が必要なケースであっても、ほとんどの場合は部分的な足場で対応が可能です。寄棟で隅棟も含めた大がかりな補修になると、建物をぐるっと囲むような全面的な足場が必要になることもあるかもしれません。
漆喰補修・交換工事後のチェックポイント(保証)
漆喰補修・交換工事が終わったら、補修・交換箇所が新しい漆喰で埋められているかを確認しましょう。新しい漆喰はきれいなホワイト色ですので、目視で確認できます。
またそのうえで、施工した部分をひと通り写真を撮っておくことをおススメします。
また、もし不具合が発生した際のために保証という制度もあります。屋根関係の保証は一般的にいって、大きく3つにわかれます。
施工保証
施工保証は、工事の受注業者が定めた保証です。施工保証は「屋根を葺く作業」という工事施工内容に対して保証をするものですので、一般的に部分的な修理・交換工事では施工保証の対象になることは少ないでしょう。
メーカー保証
メーカー保証は、屋根材を製造したメーカーが定めた保証です。メーカー保証は、施工保証とは違い、使用されている屋根材の仕様・性能を保証対象としています。基本的に屋根材を対象としているため、部分的な修理・交換工事では施工保証の対象になることは少ないでしょう。
法的な保証
修理・交換工事ではリフォーム工事と見做されるため民法で1年間の保証期間が定められています。ただし、漆喰の補修・交換工事で1年以内に不具合が発生することは考えにくく、不具合の発生は台風や強風などによる崩れの可能性のほうが高いと言えます。
その場合は、保証ではなく損害保険の対象になります。台風や強風などで屋根に被害が出た場合は、火災保険申請を依頼するとよいでしょう。
強風による火災保険申請の参考事例:「町田市 スレート屋根 ドローン確認【施工事例:146】 屋根や外壁の火災保険申請も致します」のページより
漆喰補修・交換工事時の近隣挨拶について
漆喰補修・交換工事時は、一般的には近隣挨拶の必要はないケースがほとんどです。日数も短期間ですし、解体作業や音の出る作業も限定的ですが、近隣住民との家計を心配するのであれば挨拶をしておいてもよいでしょう。
また、足場をかける場合、足場が一時的に隣地へ越境するか、ギリギリまで迫る場合などは一声かけておくのが望ましいでしょう。