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重ね葺き工事(カバー工法)

目次

屋根の重ね葺き工事(カバー工法)の費用について(相場など)

 

屋根カバー工法とは、既存の屋根の上から新たな屋根材を被せてカバーする屋根工事です。

重ね葺き・カバー工法の費用

カバー工法の費用ですが、使用する屋根材や屋根面積・形状によっても異なります。
仮に一般的な木造住宅として、建物の坪数としては30坪台(90から110㎡程度)、屋根面積は20坪台、60から70㎡程度とします。平均的な費用としては、100万から200万程度になることが多いです。

 

重ね葺き工事(カバー工法)にかかる日数(工期)

 

重ね葺き工事(カバー工法)には1週間から10日間程度の作業日数がかかります。葺き替えに比べて工期が短くできます。既存の屋根材を撤去・処分する期間が短縮できるからです。

仮設足場を除いた施工手順について説明します。

1.棟部分の撤去
まず、屋根材の頂上にある棟板金と、その下地材の貫板を撤去します。

2.ルーフィング(防水シート)を貼る
既存の屋根材の上から、新しい防水シートを貼ります。谷部分は雨漏りしやすいので2重3重に重ねるなど用心します。原則水下側から施工していき、重ね部分は水上側が上に被るように重ねなくてはいけません。

3.新しい屋根材を取り付ける
防水シートの上から屋根材を並べ取付します。平面は単純ですが、軒先やケラバの納まりに注意します。

4.棟を取り付ける
新しい下地と棟を取り付けます。防水を考えてしっかりシートや屋根材でカバーできていることを確かめます。

5.板金の隙間をコーキングで埋める
接合部の隙間をコーキングで打ちます。ただコーキングの防水性は数年ですので、浸水したとしてもその下に防水ができているのが前提です。

ただし、かかる工期については屋根の大きさや形などによって多少変わりますので、平均的な目安として考えてください。
ただし、どちらも天候に左右されます。雨天時には原則作業できませんので、そのぶん工期は延長する可能性があります。

 

重ね葺き工事(カバー工法)時に心配な点
(追加費用・天気)

 

重ね葺き工事(カバー工法)を依頼して工事してもらう際にはトラブルが気になるところです。心配な点をまとめました。

屋根の重さ

重ね葺き工事(カバー工法)では、既存の屋根を撤去せず、新しい屋根の重量がプラスされるため、重心が上がり耐震性が低下することがあります。
そのため、カバー工法では、スレート、金属(板金)、アスファルトシングルの3つに限られます。原則、重量が軽い屋根材に限られます。

追加費用はかかる?

カバー工法では既存屋根材を撤去しないため、葺き替えと違い下地の状態を確認できないまま工事が進行します。そのため下地が傷んでいても交換することができません。下地の劣化が著しいまま新しい屋根を乗せることはできません。

念のため、最低限の下地を交換する想定をしておいた方がいいです。
その際は追加でいくらかかるのか、事前に業者と相談しておきましょう。
下地の劣化がかなり進行している状態で進めてしまうと、屋根が飛ばされたり雨漏りなどのトラブルに発展することがあります。

また、屋根が二重になっているので、雨漏りしても原因を特定するのが難しい面があります。

天気は大丈夫か

屋根に関する工事では、天気は作業を左右する重要なタイミングになります。葺き替え工事では、もし雨が降る前日に瓦をめくってしまえば、屋内への雨漏りのリスクはあがります。

ただし、カバー工法は既存の屋根を撤去しないため、施工中の雨漏りのリスクはかなり軽減されます。
棟などの一部を撤去する部分さえ養生をできれば、ほとんど心配はないでしょう。

 

重ね葺き工事(カバー工法)時に足場は必要か?
(部分足場で対応可能かなど)

 

重ね葺き工事(カバー工法)では、原則足場は必要だと思った方がいいでしょう。基本的に全面的な軒足場の設置が必要になります。補修や修理の工事とは違い、葺き替えに近い全面的な作業になるためです。既存屋根材の解体撤去はありませんが、新規屋根材の葺き工事の作業効率や安全面だけでなく、資材の荷揚げが多くなるためです。

梯子で屋根に上っても、軒先の施工や新規屋根材の荷揚げまで含めた作業性を考えると、結局足場を建てた方がスピードが上がり、施工の質も上がり、費用的にも効率が良くなります。

勾配が強い屋根のケースでは、屋根面に単管足場を渡していく、屋根足場が必要になることもあります。

 

重ね葺き工事(カバー工法)後のチェックポイント(保証)

 

重ね葺き工事(カバー工法)後にまずチェックしたいのは、接合部の隙間をコーキングで埋められている確認です。ただコーキングの防水性は数年ですので、浸水したとしてもその下に防水ができているのが前提です。できれば施工中にアスファルトルーフィングなどの防水シートがしっかり敷かれているか、確認したいところです。

ただし、不必要にコーキング材などを使用していないかです。コーキング材は一時的に止水するには役立ちますが、耐久性はせいぜい数年です。壁との取り合いなど複雑に取り合っている個所では仕方なく使用することはありますが、そうでない箇所に使用しているケースはなんらかの不具合があるかもしれません。

また、重ね葺き工事(カバー工法)工事が終わったら、ひと通り写真を撮っておくことをおススメします。屋根面はもちろんですが、軒先、ケラバ、棟などできるところは撮っておきましょう。もし、施工後まもなく不具合が発生した場合、不具合発生前と発生後とで屋根に変化があるかどうかを確かめるためです。たとえば板金の納まりが不完全だったとして、当初からそうなっていたのか、あとになってズレたり外れたりしたものか、区別することができます。ズレや外れが強風などの被害によるものかそうでないかの判断に繋がります。

瓦屋根のケースでは、屋根面の平瓦が割れていたとすると、はじめから割れていたのか、最近になって何かが飛来して割れたものか、区別をつけるためです。

また、もし不具合が発生した際のために保証という制度もあります。
屋根の保証は一般的にいって、大きく3つにわかれます。

施工保証

施工保証は、工事の受注業者が定めた保証です。
施工保証は「屋根を葺く作業」という工事施工内容に対して保証をするものですので、重ね葺き工事(カバー工法)も対象になります。

施工保証を求める場合は早い段階で意志を伝え、施工後は書面で保証書を発行してもらい、交付してもらいます。ただし、修理の場合は施工保証が付いたとしても短期間です。
10年程度の保証期間が一般的です。

メーカー保証

メーカー保証は、屋根材を製造したメーカーが定めた保証です。メーカー保証は、施工保証とは違い、使用されている屋根材の仕様・性能を保証対象としています。
屋根材としての性能を保証するものなので、施工に不具合があったケースでは保証対象にはなりません。材料や製品によって保証期間には差があります。

カバー工法の場合は瓦ではなく金属系の屋根が多くなります。瓦屋根の場合では保証をつけているメーカーは少なく、金属屋根でも量産品の一部に保証があるくらいです。
ただし、金属屋根の塗装に関しては塗料メーカーの保証がつくケースがあります。塗料の性能などによって保証期間が定められています。
ただ、塩害や大気汚染など通常の使用環境外では保証対象外になることがあります。

法的な保証

新築時の屋根の場合、10年間の瑕疵担保責任が法律で定められています。
建物の新築時が対象なので、重ね葺き工事(カバー工法)では対象から外れ、瑕疵担保責任は適用されません。とはいえ、リフォーム工事と見做されるため民法で1年間の保証期間が定められています。

新築し、引き渡ししてから10年間は、雨漏りの発生など目に見えない隠れた不具合が原因と認められれば、修理や補償を求めることができます。これは屋根の性能に関わらず建物全体についての瑕疵担保責任です。

保証の注意点

いずれの保証パターンであっても、地震や台風で受けた自然災害による被害は保証対象になりません。この場合は保険の範疇に該当するため、加入している火災保険などの損害保険の利用になります。
※火災保険や共済の利用解説はこちら

 

重ね葺き工事(カバー工法)時の近隣挨拶について(必要か不必要か?音がうるさいなど)

 

近隣挨拶が必要なケースと範囲について

重ね葺き工事(カバー工法)時、近隣へ挨拶にまわった方がいいでしょう。
解体撤去などで騒音や粉塵の飛散の心配はありませんが、工事期間はある程度取られますし、迷惑をかけるものだと思った方がいいです。挨拶にまわる範囲は、原則的には土地に接しているお宅になりますが、ケースバイケースで道路を挟んでいるお向かいさんまで挨拶に行きましょう。また、以前に挨拶されたお宅があれば工事内容にかかわらず挨拶した方がいいでしょう。

近隣挨拶の方法とタイミング

トラブルになりやすいのは騒音や振動、ゴミなどの飛散ですが、重ね葺き工事(カバー工法)ではその心配はありません。次にトラブルになりやすいのは工事車両です。トラックなどが近隣住民の通行の邪魔になったりするものですが、どこに駐車するのかを明確にしておくことが大切です。そのためできれば工事の担当者と一緒にまわり、ペーパー1枚でいいので工事概要と予定工期、さらに工事車両の駐車スペースが記載されたものを配る方が安全です。工事の担当者に言えば用意してくれます。粗品については、近隣挨拶用のタオル1枚など、施工業者に相談すれば何らかの形で適切なものを用意してもらえます。
タイミングは工事開始の1週間から10日前くらいがベストです。

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